詩 考 索 吾ー MY POETRY77


BBS  

POETRY [目次]  



スローガンに住みついた悪魔 (丑三つ時にでてきた話5)

bysos-ei  on3/7 09:10 2010

 悪魔が棲んでいました。この悪魔は最も下等な種に属していたので雌雄の別がありませんでした。悪魔は四つの卵を産み孵しました。
 子煩悩な悪魔は、四匹の子供達が成人すると、そのお祝いに、核兵器の作り方を教え、実社会におくり出しました。
 第一線で活躍することになった四匹の悪魔は、自分の気に入ったそれぞれの王様の心に住みつき、核兵器の作り方を王様に教えてやりました。王様の体は王様だけのものでしたが、王様の心には悪魔が住みついていたので悪魔のものでもありました。王様の体は王様の心に住みつかれていたので、悪魔にも権利があったのかもしれません。
 悪魔は、ともかく人に住みついてしか生きてゆけない寄生虫のようなものなので、自分が住みついている人間だけは守らなければ、自滅してしまうのです。悪魔の悩みはそこにあるのでした。
 つまり、悪魔は核兵器が使いたくてしかたがなかったのですが、自分以外の三匹の兄弟もやはり自分が住みついている王様にその作り方を教えていることを知っているからです。人類が破滅すれば、悪魔類も破滅する。核兵器を使いたい、けれども使えば、身の破滅を招く。
 悪魔はそのディレンマに悩みました。悪魔にとってディレンマは陣痛のことでありますので、四匹の悪魔は、悩む度にストレスの発散も兼ねてポンコラポンコラ卵を産みました。孵化した悪魔の子供達は、地に満ち、人に満ちて、一つのスローガンを産みました。
 ----- 核兵器は人類の敵だ!!
(
何故なら、悪魔の安住の地を守るために・・)
 けれども一匹の悪魔も[広島の心]には住みつくことがいまだにできないでいるそうです。

 

 

詩考索吾HOME