詩 考 索 吾ー MY POETRY93


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うそつけ

 

 

何を言うんだ。そんなことより、ゆっくり休んで、早く 良くなるんだ。俺は絶対に、おまえ以外の女なんかとは 結婚はしない。そう言ってやると、妻は新婚だった頃に よく口にしていた”うそつけ”という言葉を残して逝っ てしまったんだ。その時の表情が、今になっても瞼に焼 き付いて離れない。一生懸命、悪戯っぽい表情を作り出 そうとしているのだが、何ともやるせない表情をしてい るんだ。心持ち涙が光っているようにも見えた。だから 今まで、俺は男手ひとつで息子を育ててきた。来年、東 京の大学を卒業するんだ。そんな話を平気でするプレー ボーイの腕に抱かれながら、心の中でわたしは呟く”う そつけ”---子供なんかいないくせに。

 

 

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